いっぺん廻ってみ?

たりないものばかり

髑髏城の七人season花 初日感想(ネタバレ有)

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2017.3.30(木) 18:30
IHIステージアラウンド東京/ 15列目右ブロック
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 縁あって杮落し初日に見てしまったまさかの花髑髏。
 本当は4/3マチネが個人的初日だったのでそこに標準合わせてたのに、開演3時間前に見れることが決まってまったく心の準備もなにもないまま登城してしまいました。客席に黒スーツの偉い人が半数くらいいて多分きっとあの人たち全員髑髏党。
 開演前のジューダスで既に泣きそうになる。まさかドクロイヤーになるより1年早く生で見れることになろうとは。一年前、のんびりと新橋で乱鶯を見ていた私に早く伝えてやりたい、「一年後、お前髑髏城観に豊洲で回ってるよ」と。一年前の私、これから何が起こるかなんて何も知らないんだ。
 真性ワカドクロ厨を自負している私ですが歴代髑髏城だって好きです。97にはあってアカにはないものがあったり、アカにはあってアオにはないものがあったり、アオで到達されたと思ったらワカでいろいろぶっ壊されて、そうやってビックバンのように続いている髑髏城の七人という物語の歴史そのものがすごく好きだ。なにより何度でも柔軟に生まれ変われることのできる古典的あらすじが好きだ。どんな結果になろうと受け止めるよ、新感線大好きだよ、どんな気持ちでジューダス聴いてた。
 そしてこの日、また新しい平行世界の髑髏城が生まれたんだなあ。良かったなあ。良かったよ。良かった。回った。

 長い前置きはここまでにしていざ回ってきました。花はあと3回行きますが、きっとどんどん進化していくことでしょう期待してます。いろいろグダグダぶつぶつ思いながら見てましたが、カーテンコールで全俺の感情が溢れ流れ浄化された感あるのでハッピーエンド万々歳。
 あのカテコはずるいよ!!!!!!!誰でも泣くよ!!!!!!!あれこそこの劇場の真髄ありがとういのうえひでのり、ありがとうステージアラウンド。

 


<捨之介@小栗旬
 久しぶり(たぶんムサシぶり)に見たナマ旬は遠くから見てもカッコよかったです。芸能人のオーラだった。
 ワカより線が太くなって、荒々しくなって、なにより強くなった。それでも、過去に何かしらトラウマがあるんだなということが台詞の端々からわかるからたまらない。
 すごい個人的な思いなのですが、歴代髑髏を見た上で、ワカドクロの捨之介だけは何故生き残ったのか今までどうしても納得できなかった。それは物理的な弱さもあったし脚本的にも説得性が足らない部分があったし、天魔と蘭兵衛があれだけ悲痛な想いを体現してたが故にあの二人に引きずられ、捨も一緒に心中してしまえば良かったのにくらいは思ってました。でも今回、「こんなことを繰り返すのはもういやなんだ!」と自らに言い聞かせるように怒鳴りながら、自分の意志で関東に来て、悲劇を繰り返さないために動いてる。結局同じことは起きたわけだけど、最後は今度こそ幸せにねえ~~と終幕に手をふりたくなりました。沙霧の関係性も変わったからだと思いますけど。というわけで、ワカリベンジおめでとうございました!!ループ妄想がはかどりますね!

 

<天魔王@成河>
 め~~~~~~~っちゃ良かったです!以前からお噂はかねがね、最近大活躍の成河さん、もうこれでもかと楽しんで天魔王演じてくださっててこっちもドッキドキのワックワクだよねえ~、楽しくなる。ワカより福利厚生完璧そう(1番福利厚生良さそうなのはアオ)(むしろワカは周りが天魔のお世話してる)。
 ワカ天は、口巧者ながらも時折垣間見える本音に彼の本来寂しい性を考えてしまっていたのだけど、花天魔はきっと全てが演技。体も性格も化けさせられる、それでも揺るがない確固とした信念と意志を持っている。きっと年上2人と殿のやりとりを見てきて、誰よりも狡猾で機転の利く小姓として傍に仕えながら自分の中に闇と野望を蓄積していったのかな。だから多分、今回の髑髏で初めて出てきた「光秀を唆したのはあのサル」という台詞も嘘なんだろうし、強引に蘭兵衛を誘う必要もない。しかし捨のこと嫌いすぎなのには笑った。すぐ上のお兄ちゃん嫌いなタイプなんだね。
 天蘭に関しては一度見ただけでは全く昇華できないので、また見てからゆっくりと考えます。

 

<蘭兵衛@山本耕史
 ワカ蘭で早乙女太一沼に堕ちたわけですが、幼少より大河沼にドボンしており青春が組!で成立していたわたしが山本蘭兵衛を好きにならないわけがなく。
 いやぁ〜~流石大人な蘭兵衛さんだった〜〜!いくつの設定なんだろう。「気難しい殿からの仕事を抜かりなく差配し完璧にこな」していた兄者、ちゃんと無界屋切り盛りして女子たちの世話して普段はきちんと算盤弾いてそうだわ〜…。ちょっとクールだけど地に足のついてる長男さん、そりゃ天魔王にもお慕いしていたって言われるよね!
 太夫と無界の里の絆が深まったぶん、殿との関係がサラッと変化してて驚いた。実力で殿の信頼とナンバーワンを獲得してた優秀な蘭丸だったんだな…どうやら花髑髏の世界の殿はまともそうだぞ…というか皆まともそうだぞ…。

 

極楽太夫@りょう
 歴代イチ幸の薄い、儚い太夫なんだけど、それでも凛として佇んでる姿に涙。。でも途中からマジで将門御前になるから蒼の乱クラスタは覚悟してくれ。蒼真と小次郎に太夫と蘭兵衛を重ねていた私は死んだ。
 もうね〜、今回は太夫と蘭兵衛、そして捨之介と沙霧、みたいに男女の絆が色濃く出てきてるのがわかりやすくなっててアダルティ…花すごくアダルティでとても良いです。

沙霧@清野菜名
 あんたが主役!!!!!!!沙霧だよ、お前は熊木の沙霧だよ!!
 沙霧の存在の説得性が大正解すぎてカズキナカジマわかってらっしゃってた。何故ワカでやってくれなかった。
 もともと沙霧のプレイアブルキャラっぷりが大好きなので、今回はチャーミングで器用で、なによりとても強い沙霧は見ててとてもスッキリしました。里依紗の沙霧も不器用で荒くれてて好きなんだけど、小栗捨には器用な沙霧の方がお似合いかもしれない。なんだかんだ捨は不器用だから。

兵庫@青木崇高
 ムネムネ〜、大きそうで案外細かったムネムネ〜。
 ほぼ想像通りまゝの兵庫なんですが、なんとなく上品でまとも。きちんと話したらちゃんと聞いてくれそう。最後の太夫へのプロポーズ、突飛ではなくちゃんと順序取ってるのがすごく良かった…太夫の気持ちを汲み取った上での行動。こちらも蘭兵衛同様大人な兵庫だった…。

 

<贋鉄斎@古田新太

 あなたがいなかったらどうなってたんだろうこの髑髏城…。古田新太の底力を感じました。いてくれて良かった…贋鉄斎が出たときの会場の空気の変わり様ったら。あの一瞬の出番だけですべて持って行けるふるちんすごい。初っ端から刀剣ネタぶちかます姿も最高。村正と大典太と並ぶ贋鉄斎の脳内連想絵面がすごいですね。

 

<ステージアラウンド機構といのうえ演出に関して>
 いのうえさんのことだからこれからどんどん変わるだろうし、今回は様々な困難があったのだろうからいのうえ演出に関してはもう一度見てからすることにして今回目玉の廻ることに関して。
 知り合いに新感線をゴリマするときに一番よく使うフレーズが、「舞台なのにまるでジェットコースターに乗ってる感じ」だったんです。物語の移り変わりの激しさや激しい殺陣やとびきりの演出を見ているだけであっという間に終わってしまうし、それだけで、見てるだけで新感線はアトラクションだったんです。今回本当にアトラクションになってしまったわけなんですが、そのかわり新感線が持ってるジェットコースターは全く動かなかったんだな、というのが本音。まだまだ探り探りだもんね、仕方ない。
 なくなって改めて痛感したことが、わたし新感線の盆の使い方がだいっっっっ好きだったんだな〜ということ。舞台上でぬめぬめ動く場面転換が本当に好きだったんだ。今回はこっちがぬめぬめ動いてるせいか、映像作品を見ている気分になりました。褒めてません。
 きっとこれからどんどん新感線らしさを取り戻すのだろうし、演劇らしさも取り戻してゆくのだろう。多分。まだたくさん伸び代も試せることもある、そんな将来性見込めるかたちでこれから通わせてもらう身としてはワクワクです。一見さんは辛口になるかもねえ。ステアラアカウント仕事しろよ(本音)。
 そして私は映像多様している舞台がまるで好きではないので、今回の映像過多もかなり覚悟の上で行ったわけなんですが、今回の舞台機構ではあの使い方になるのはいたしかたないとはいえ、
 ポッポちゃんが映像になっちゃったのはやっぱりいただけないなァァァァァァァァ!!!!!!血涙

 

<音楽効果>
 実は一番改善の余地ありまくりと思ったのが音楽効果。肌に合わないところが多々あって流石に震えた。岡崎さんの音楽も今回は抑え気味。テーマ音楽もちょっと??という印象。でも女声ボーカル入るとやっぱ滾るねぇ良いよねぇ…。蘭兵衛さんの黄泉笛劇伴もとても渋くて清廉されてて、とてもタイプでした。あと二幕冒頭のウーハーみたいな重低音すごくよろしい…。

 

<終わりに>
 花を見てワカに見えてきたことがあって。ワカがものすごくアニメ的だったのは、人外枠の天蘭のせいだと思ってたんだけど、実はおっぱいネタ多発する太夫や兵庫のバカっぷりのキャラの立ちさもものすごく少年漫画として有効だったんだと気付くことができて。
 花はすごくドラマ的。だから、ワカの台本なのにアカドクロの匂いがする。アカともまたちょっと違うけど(アカはエロゲーだと思ってる)
 不思議だなぁ、いろんな見方や可能性が広がるのは、もともと台本にしっかりした骨組みができてるからなんだろうなぁ。さて、次は4月下旬、VACからいただいたまさかの一列目です。VACって一列目持ってたんですね……。