いっぺん廻ってみ?

たりないものばかり

髑髏城の七人season花 6/9マチネ感想(ネタバレ有)

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2017.6.9(金) 19:00
IHIステージアラウンド東京/ 20番台下手
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 花金ソワレぢからすごかった。

 ライビュから久々の花髑髏でした。そして初めての「傾斜の浅さに恨みはらします席」でした。な、なるほど…!

 結局、初日(3/30)→二回目(4/19)→ライビュ(5/15)→四回目(6/9)の四度の観劇となりました。予定通り月刊髑髏城。本当に本当に素晴らしい進化と変化を見ることができました。ライビュからいろいろ演出も台詞にも手数くわえられてて、キャストの皆さんの演技も熟成に熟成を重ねられていらっしゃって、初日と今は本当に別物。もうすぐゴール。頑張れ花髑髏。


小栗捨之介
 総括的に見て、花髑髏はやはり小栗捨の救済の物語だった。これまでずっと蘭と天魔の話をしてましたが、最後なのできちんと自分の中の小栗捨におとしまえつけたい。

 以前も書いたんですけど、わたし、ワカドクロの捨之介は「どうして最後死ななかったんだ」ってずっと言ってて。正直今ワカ見ても同じことを思う。ひどいことだと思うんですけど、ワカの捨は無事に生涯をまっとうできるとは思えなかった。ものがたりの後、どこかの道端で息絶えててもおかしくないと思った。最後がエグいことでおなじみいのうえ歌舞伎なら納得できるしその方がワカの作品にただよう、武士の愚かさや人間若さの説得性が出たような気がするんです。
 なんて偉そうに斜に構えて見始めた今回の小栗捨。一年前、小栗捨で髑髏城って発表された時は不安と反感とほんのちょびっとの期待しかなかった。初日迎えたときだって、気持ちは天蘭だった。「あ、メイクめっちゃうまくなったね?」くらいにしか思ってなくてほんとごめん。一列目で見てもあまりピンとこなくてごめん。
 それがライビュのあたりから「あれ、もしかして小栗捨めっちゃ良くね?」ってなってきて、今や小栗捨サイコ―に尊い生きろそなたが美しいとか言い出して泣き出す始末語彙力皆無。
 花捨は過去に置いてきたワカ捨をきちんと取戻しにきてくれたんだなあと、花のパンフを読みながら号泣ですよもう。ありがとう。


成河天魔王
 初日から完璧だった気しかしない天魔王。成河さんの台詞ってほんと息が長い。台詞と台詞の間でさえ見えないスラーで繋がってるから、台詞が大きな線となって一息で耳に落ちてくるの凄すぎ問題。
花天魔王は獰猛が故の薄情者で無自覚不感症だと思ってるんですけど、じゃあ兄者にかばわれた時のあの表情は本物なのか偽物なのか、どちらなんでしょうね。


山本蘭兵衛
 ああ、私は一幕の蘭兵衛さんが好きなんだなってしみじみ思いました。
 歴代一無界の主人感がある蘭兵衛さんなのに結局武士なんですね。なんにもなりきれてない、フラフラの状態。見かけと心が一致してない。
 最後なんで言っていいですか。一幕を山本蘭兵衛で、蘭丸に戻ってからは早乙女蘭兵衛(ワカver.)で見たいです。

 

りょう太夫
 ねえどうして誰も太夫もポニテめっちゃ直してるって言ってくれなかったの!?!?!?
 二人のポニテセルフ直し同じ角度すぎて叫びそうだった。多分蘭のポニテ姿なんて蘭兵衛時代には見なかっただろうし、太夫もあんな戦装束着なかったろうから、あのしぐさは無自覚で同じなんですか。なんなんですか。
蘭と太夫の絆が強ければ強いほど太夫の物語性が増すのでここ強くされると花髑髏尊い指数がだだあがりしてしまう…ありがとう花髑髏…。
 りょう太夫、私の中では歴代一かもしれない…栄子姐さんの太夫も好きなんですけど、艶っぽさと姉御的な力強さと儚さがあんなに同居してる太夫奇跡だと思う…。

 

青木兵庫
 喉とか体とかひやひやする噂をよく目にしておりましたが、え、めっちゃ良かった。この日は良かった。というか今までで一番良かった。くだらない笑いで人を笑わすの難しいし、泣かせるところで泣かせなきゃいけないし、それでいてあんなに動くし、髑髏城の中では兵庫が一番難しい役なんじゃないかなと日頃思ってて。ムネムネ兵庫、これまでは手一杯感否めなかったですが、この日は兵庫だった。ムネムネではなかった。兵庫だった。泣いた。

 

清野沙霧
 初めから大正解だったのでもう何も言いません。あなたが主役。あなたのおかげで花髑髏は幸せな世界。舞台を縦横無尽に爽快に駆け回るあなたが大好きでした、本当にありがとう。捨之介をよろしくお願いします。

 

近藤狸穴
 好きなんです…好きなんですけど、私はワカ狸穴のあのイケ渋たぬきがリア恋枠なだけなんです…

 

古田贋鉄斎
 なんで出てくるだけで笑ってしまうのだろう、私も、あなたも、みんな。どうして笑ってしまうのだろう。なんでだろう。
 今思い出した、そういえば先日二回目の乱鶯見ました。この人源三郎だった。天才かな。


まとめ
 素晴らしいので何度も書いてしまいますが、とにかくバランスがすごく良い。ここが惜しい!とかここが突出してすごいけどこっちが…!という尖り方がなく、それでいて埋もれるわけでもない。そして客席が回る。これ以上何を望めばいいのか。殺陣と所作かな。
 大人の余裕と脂の乗った生気を浴びて、これからもがんばろうという気になって外に出れる、こんなに愉快なことはない。しばらくずっと豊洲は幸せな世界。


 次来るときは大本命鳥髑髏!!いつ見てもエグいキャスト!!すごい尖ってそうw!!よろしくお願いします!!!!