いっぺん廻ってみ?

たりないものばかり

鳥髑髏の捨天蘭と、関係性のおはなし

 

現時点での、考察という名のまとめ。半分以上は妄想のたぐい。楽しい。しんどい。深読みしすぎて製作陣そんなこと考えてないよ系のアレ。私、すごい鳥の捨之介が好きみたい…。
もうかずきなかしまには責任とって花鳥風月すべての小説版を書いていただきくらい…。

 

 


捨之介
スーパーヒーローSUTENOSUKEという古田新太力を徹底的に排除した結果、新しい魅力的な捨ができあがってました。
作品自体がこれだけ明るくて楽しいのに、この捨之介はどこまでも下位の者。忍んでて陰に住んで、「泥をすすって」いた暗い空気を持つ者。「天魔を憎んでいる」という台詞もかなり衝撃的で。とにかく徹底的に敵視してる。
織田と忍者といったら今話題の伊賀忍者ですが、もしかして捨の出身は伊賀ゆかりの地で、乱で唯一生き残った捕虜で偶々信長の目に留まって下働きになったとか、そういう過去があっても面白そう。時期的にも合うし。故に何の関係もない人達を見殺しにできないとか、そういう犠牲事にトラウマがあるのかもしれない。(まあ伊賀の頭領服部半蔵が髑髏城にはいるんですけど)(「殿に夢中だった」とか言わない気もするんですけど)
剽軽そうに見えながら、おそらく登場人物の誰よりも孤独。殿が死んだと知ってから自らを大いに責めたんだろう。悔やんでも悔やみきれなかったのだろう。人の男の真実も知り、苦しんでもがき、天魔を倒すことに決めて。どんな思いでこの8年を生きてきたのだろう。捨之介という名前はどうやってきめたのだろう。考えたら考えるほど、今回の捨之介は尊い
そんな捨と天蘭には、今回あまりに隔たりがありすぎる。気高く、天という高みから超然と見下ろしている天蘭サイド VS 草莽の仲間達+ヒーローでもなんでもない等身大の捨之介は、だからこそ「六人の仲間と天を倒す」という髑髏城の物語、髑髏城の七人というタイトルに一番相応しい捨之介なのかもしれない。


天魔王
しんどい。
鳥戯曲のあとがきに中島先生が鳥天蘭の答え出してくださってますけど、しんどい。
信長教教祖であられる天魔王さまは、どこまでも殿を信奉し殿に狂い殿に魅了された人の男が作り上げた、幻想を縁取るかりそめの器なんだと思います。かずきなかしま曰く、紛い物。くそう。
こんな勧善懲悪の物語なのに、超悪役なのに、それなら花の天魔みたいに潔く悪役ライフ謳歌してくれてたって良かったじゃないですか。ワカ天魔も相当つらかったですが、もっと存在価値が怪しい天魔王を作り、かつそれを森山天魔王にやらせるなんて流石えげつない脚本に定評のあるかずきなかしまですね全くもうしつこい野郎だぜ。
「死んで甦り、天魔の怨霊として」生きている天魔王は、殿に何も残されず何も託されなかった人の男によるただの自作自演。その存在は、人の男が認めなければ見いだせないのですが、認めてくれる人がもう1人いる。天魔王への復讐を心に決めてる捨之介です。もしかして、人の男は、捨之介という第三者に自分を憎ませることにより自分の存在理由を強固なものにしていたのかもしれない。
今回の天魔は夢見酒が大変お嫌いらしいですが、そんなもの飲まずともずっと夢から覚めてないのは天魔自身なんですよね。夢から生まれたもの同士拒絶し合ってるのかも。
ところで「あっれ、贋鉄斎!?」って言いながらちょっと慌てるところ、贋鉄斎がいることにより斬鎧剣の仕掛けを見破ったんでしょうけど、あの驚き用、昔この2人がどんな関係だったのか想像するのが楽しい。


蘭兵衛
今回のらんべさんは、誤解を恐れずに言ってしまうとファムファタル。兼オムファタル。相変わらずひとり死に勝ち組なので地獄でも太夫に殴られていればいいと思います。でも「あんなに美しいなら許す!!」ともなるのでもう良いです。真理+物理にこちらが殴られてる。知ってるよ、お前が1番愛されてるよ。少しは兄者みたいに悩めよ。
ワカからこんな変わってるなんて思わなかった。ふわっふわですよ、柔らかすぎませんか。もちぷにゃなみにぷよぷよふわふわしてる。
素直で良い子。外見通り真っ白な、何にでも染まる人。殿に生きよと命じられたから、その通り生きてる。何色にも染まれるから、織田という天界から降りて市井の者として無界の里に自らの根も生えさせられる。いい意味でも悪い意味でも器用で柔軟なんだな、今回の蘭兵衛さん。
従来の捨之介の役割を一部担っているのも理由の一つなんでしょうけど、とにかく余裕がある。とにかく人と触れ合う、会話する、笑う。無意識天然タラシ。ふわっふわなのにフラフラではなく、自我はあるので物語通りに捨が現れなくても、きっと髑髏城に行ってしまっているんでしょう。さおとめさんもパンフで「自ら溺れに行ってる」って言ってますし。しかし贔屓目とかそういうのでは決してなく、早乙女らんべの夢見酒のこぼし方が珠玉すぎて、なんで毎回毎回綺麗に口の端から溢れされられるんだろうと不思議なん…凄いよね…。


天蘭
選ばれし者と選ばれなかった者の話として、よりエッジの効いた話になったため、そういう類の話が好きな人のための底なし沼ドボーン。
蘭は、未だに人の男のことを仲間として見てると思うんです、潜在的に。「やはりお前か」を少し嬉しそうに言うパターンもあるし、捨に「死人に取り憑かれた男の相手をするんじゃねえ」とも言われる。最後の天蘭一騎打ちの時も、あそこまで天魔を追い詰めて刀を振り上げておきながら、その刀を下ろせない。蘭丸にとって、人の男は同士のまま時が止まっているからなんじゃないかな(あの直前で、殿からの伝言を天魔から言われるので、蘭にとって天魔王は天魔の怨霊ではなく人の男に戻ってるんじゃないかな)。
対して天魔は殿教の教祖なので、かずきなかしまの言う通り蘭兵衛しか見てないんだろうけど、蘭を通して殿しか見てない。天天天の構図を作るツールの一つ。
だから、鳥天は「地図を書き直さければならんな」の時点で蘭を斬ることを決めてますよね、天の駒だもの…ワカは直前だろうけど…はぁ、つら…。
今回は、蘭丸より人の男の方が、少し身分が高い生まれなのかもしれないのかなとか、家からいかに殿が偉大で絶対的な存在なのか叩き込まれたのかなとか、もしかして同い年かもしれないとか。鳥天蘭ギムナジウムのぞいてみたい。


捨天
ほとんど捨と天魔の項で書いてしまった感ある…。さやかが歌ってる歌詞に出てくる「生きることが旅なら私は迷子ですか」って、捨と天のことだと思うんです(かろうじて聞き取れた歌詞)。いや全然違うかもしれないけど。この二人、憎み愛による相互依存で良いんじゃないですかもう…。


捨蘭
何が感動したかって、ワカでは捨に触れられることすら嫌がった素振りを見せていた蘭が、鳥では率先して捨に触れてるし逃げられてるしコンタクト取ろうとしてるところでね。蘭さん、捨のこと基本的に好きだよね。
初見時、蘭に土下座する捨という絵が結構衝撃的だったのですが、織田時代に蘭>人の男>>>>>(超えられない格差)>>>>>捨というヒエラルキーがあるのならば、昔から蘭に土下座することも多々あったのではとか感じました。そんな捨の言うことを蘭が心に留めるはずはなく、だから鳥捨は歴代捨のように「3日で戻る、それまで待っててくれ」とも言わないし、蘭も待たない。
「お前を信じろと言うのか」ってめっちゃ好きな台詞なんですけど、蘭さんどこで「地の男が本能寺に間に合わなかった」ってこと知ったんです?人の男が手下持つくらいだから蘭さんにも手下とか情報通とかついてたんです?
ところで、鳥捨は打倒天魔の為に関東来ましたが、無界の主人が蘭丸だって知ってたのかな。